2020 年 4 月 20 日 月曜日

コンクリート建築物の劣化現象

コンクリート造に使われる材料や配合、施工に関する基準は見直され、
近年では造られて間もないコンクリート構造物の早期劣化が叫ばれることは
ほぼ無くなりました。
ですが、適切に配合、施工されたコンクリートも年月とともに必ず劣化していきます。
劣化したコンクリートを調査することで劣化の原因や進行具合を把握し、適切な補修や
維持管理を行うことによってコンクリート構造物は健全な状態でいられるのです。

-コンクリート建築物の劣化現象-

【中性化】
★原因
二酸化炭素の侵入
配合設計の配慮不足
ひび割れや豆板などの欠陥部の存在

【ひび割れ】
★原因
乾燥収縮
温度変化の繰り返し
アルカリ骨材反応
施工不良
セメントの水和熱
鉄筋腐食
火災
地震
過荷重
地盤・基礎の不同沈下
化学作用

【漏水】
★原因
ひび割れや豆板などの欠陥部の存在
外装仕上材の浮き等

【強度劣化】
★原因
配合設計の配慮不足
施工不良
アルカリ骨材反応
火災
化学作用
繰り返し荷重

【大たわみ】
★原因
部材断面不足
配筋の配慮不足
施工不良
過荷重
鉄筋腐食
コンクリート強度劣化

【表面劣化】
★原因
地域要因(気象含む)
火災
鉄筋腐食
化学作用
繰り返し荷重
すりへり

【凍害】
★原因
配合設計の配慮不足
地域要因(気象含む)
水の供給
ひび割れなどの欠陥部

【鉄筋腐食】
★原因
配合設計の配慮不足
施工不良
中性化の進行
ひび割れや豆板などの欠陥部の存在
飛来塩分
水の供給

-コンクリート建築物劣化の調査方法-

≪目視調査≫
コンクリート表面の損傷や劣化の状況、構造物全体の変形、周辺の環境状況などを
目で見て観察したり、簡易な器具を使って状態を把握したりする調査方法です。
ひび割れの幅をクラックスケールの目盛りと照らし合わせて測定する調査や
コンクリート表面の剥がれの観察、構造物全体の傾きや沈下などの変形を観察することが
目視調査に含まれます。

≪打音調査≫
コンクリート表面をテストハンマーまたは打診棒で軽く叩く調査方法で、
その叩いたときの音質でコンクリート表面近くの劣化状況が把握できます。

≪コア抜き調査≫
円形のドリルでコンクリートに穴をあけ、直径75mm~110mm、
長さが直径の1倍~200mm程度の円形型の
コンクリートサンプル(コンクリートコア)を採取する調査です。
採取したコンクリートサンプル(コンクリートコア)を用いて、
コンクリートの圧縮強度の測定や中性化の進行状況などの
劣化進行具合の調査、劣化原因の調査などが行われます。

≪非破壊検査≫
専門的な機材を用いることで、コンクリートを壊したり傷めたりすることなく
コンクリート内部の欠陥やひび割れの深さを調査したり、
コンクリート強度を推定したりすることができます。
非破壊によるコンクリート内部や表面調査方法には、
超音波を用いる方法や赤外線サーモグラフィ、電磁波、X線などを
用いる方法があります。
またコンクリート強度は、シュミットハンマーという機材を用いて
コンクリートを壊さず推定することができます。