耐震診断
耐震診断は現行基準法以前に建てられた旧い建物が現行の新耐震設計法と同等以上の耐震性を有するのかを 判定するものです。
設計図の詳細な検討、現地における数々の調査を実施し、それらの総合的な評価から、 建物の地震に対する安全性を判定します。
耐震診断の必要性
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災(震度7:気象庁初の設定、マグニチュード7.3:都市直下型と しては世界最大級)では6,433人の方が犠牲になり、約25万棟の家屋が全壊・半壊しました。
また、亡くなられた方の8割弱が建築物の倒壊等による圧迫死や窒息死であったことが報告されています。 また、いくつかの地域では大地震発生の可能性が懸念されており、早急な震災対策の必要性が指摘されて います。
既存建築物の耐震性能を正しく診断し、適切な耐震補強を施すことは、大地震から人々の生命・ 財産を守ることはもちろん、既存ストックの有効活用の観点からも極めて重要かつ急を要する課題であります。
診断方法
診断が精密になるほど時間と費用は多くかかることになりますが、以下のように、建物の特徴に見合った 診断方法を選択することが肝要です。
なお、簡易な診断の段階で「耐震性能が十分ある」、と判断された 建物の方がより健全な建物といえます。
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予備調査
設計図書の内容確認により建築物が設計図書どおりかどうかを概観し、診断内容 (診断の必要性や診断レベル:一次診断/二次診断/三次診断)を判断します。 -
一次診断法
柱や壁の量から略算される建物の強度を基準に診断します。 壁量の多い建物に適した簡便法です。 -
二次診断法
柱と壁の強度とじん性を考慮して耐震性能を算出する手法で、一次診断より精密な判定法です。 鉛直部材の強度のほか、建物のじん性も評価します。 -
三次診断法
柱・壁に加えて梁の受けるダメージも考慮し、建物の保有水平耐力(地震力のような横方向の 力に対する建物の耐力)を求める最も厳密な判定法です。 -
補強設計
耐震性能が十分でないと判断された建築物に対して補強方法の検討をおこない、 耐震性向上案を策定、提示します。
調査項目
- コンクリートコアの採取、圧縮強度試験
- コンクリートの中性化深さ試験
- 図面復元、確認のためのレーダーによる配筋調査
- 不同沈下測定
- コンクリートのはつりによる配筋調査
- 外観調査
- 上記調査項目報告書の作成。