鉄筋腐食度 コンクリート中性化試験【構造物の調査・診断】
コンクリートの中性化とは
鉄筋コンクリート構造物は、セメントが硬化する時の水和反応で
生成される水酸化カルシウムの強アルカリ性(pH13強)によって
コンクリート内部の鉄筋は腐食しないよう保護されています。
一般的な環境下でのコンクリートは、大気中の炭酸ガスなどと反応することによって
表層部より内部へと中性化が長期にわたって徐々に進行してゆきます。
中性化深さが鉄筋位置に達すると不動体被膜が破壊され防錆機能は失われ、
鉄筋は腐食し構造物の劣化につながります。
このことから、コンクリートの中性化深さは鉄筋コンクリート構造物の耐久性を評価する
一つの指標として用いられます。
中性化深さ測定試験方法
pH8~10の変色域をもち、pH13強までのアルカリ性で赤紫色を呈する
フェノールフタレイン試薬を用いてコンクリートの中性化領域を判断し
表面からの中性化深さを測定します。
1)測定面の準備
コア供試体を圧縮試験機などを用いて割裂した後、
割裂面に付着したコンクリートの小片や粉を、ハケや電気掃除機などで
あらかじめ除去します。
2)中性化深さの測定
測定面の準備終了後、直ちにフェノールフタレイン試薬を噴霧器で
液が滴らない程度に噴霧します。
定期点検・詳細調査
中性化に対する点検は外観検査が基本となるが
中性化がある程度、進行し鋼材の腐食が顕在化するまでは
一般に外観上の変状は認められない。
詳細に中性化の進行を測定するには、コア採取・ハツリ試験による
中性化深さ試験
劣化対策
中性化による劣化が進行した場合の補修方法として以下の手法があります。
・表面被膜工法・・・・・炭素繊維巻立工事
中性化の進行を食い止めるためコンクリート表面の被膜を行う
・断面修復工法
中性化したコンクリートを除去・修復する方法
腐食した鉄筋の防錆処理も合わせて行う
無収縮グラウト工事