2017 年 9 月 14 日 木曜日

鉄骨調査 耐震診断

耐震診断レベル
 通常、鉄骨造の耐震診断は一般診断、精密診断に分けられます。

■一般診断■
 一般診断は予備調査および現地調査の情報を反映して設計図書により
 耐震診断を行います。設計図書(構造図面)が無い場合で実測等により
 構造図が再生できる場合は適用の対象となります。ただし、構造図が再生できない
 場合の耐震診断は不可能です。

■精密診断■
 一般診断が不適合なもの、大スパン構造(空気膜、シェル、吊り屋根等の張力システム)や
 立体トラス系等の特殊な構造形式あるいは一般診断の結果『倒壊の危険性がある』、
 『倒壊の危険性が高い』と評価され、更に詳細な診断を行う場合に精密診断が
 適用されます。
 精密診断は診断受付機関等に設置される専門委員会の判断に基づき診断方法を検討し、
 適切な診断方法により高度な技術的判断によるものとなっています。

【診断結果の評価】
 診断結果は構造耐震性能Isに代表される指標値により判定されます。
 以下に判定基準、判定(1)・判定(2)・判定(3)を示します。
 (構造耐震性能の評価は、建設省告示第84号附則)
 Is(構造耐震指標)とq(各階の保有水平耐力に係る指標)から構造耐力上主要な部分の
 地震に対する安全性を3ランクに評価します。

☆一般診断における耐震性の判定
 判定(1):0.3>Isまたはq<0.5
       [地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い]
 判定(2):判定(1)および判定(3)以外
 判定(3):Is≧0.6でq≧1.0
       [地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い]
判定指標値は建物の用途や重要度等を考慮して、建物所有者と協議して
設定することが望ましい。

●予備調査
 予備調査とは(その目的)
 予備調査は建物に耐震診断の適用が可能か不可かの判断をし、可能な場合は
 その診断レベルを技術的な見地より提案し、その診断に要する費用を見積るために
 行うものです。
 また、耐震診断等を行う場合の基礎的な事項を調査するものとするが
 建物の診断にあたっては予備調査を必ず行うものとします。
 予備調査では一般診断を実施する時の調査方法および調査箇所についても
 検討しておく必要があります。

≪耐震診断のレベルの判定≫
 鉄骨造と判断する建物において予備調査の判定結果は以下の5種類とする。
 1.安全と思われます。
 2.一般診断をおすすめします
 3.精密診断をおすすめします
 4.資料が不足しているため診断できません
 5.大地震時に倒壊の危険があります

鉄骨実態調査(一般診断の計算に必要な調査)
1.調査箇所・・・・・・重要と思われる軸組、筋交構面、柱梁接合部周辺の
           施工状況を調査
2.調査部位・・・・・・部材寸法、溶接状況、ボルト接合、ダイヤフラム、発錆状況、
           柱脚を複数ヶ所調査
3.接合部耐力・・・・・設計図にあっていれば図面で耐力評価、異なる場合は
           調査箇所を増やして再調査し耐力・靱性を評価
4.溶接状況の確認・・・突合せ溶接、隅肉溶接の確認は裏当て・エンドタブ・スカラップの
           有無やマクロ試験・超音波試験での確認も必要
           設計図で突合せ溶接となっていても確認できない場合は
           隅肉溶接耐力で計算
           超音波による溶接欠陥の検査は、精密探傷試験が
           推奨されています。