2012 年 5 月 1 日 火曜日

鉄筋腐食度・コンクリート中性化試験【構造物の調査・診断】

コンクリートの中性化とは
鉄筋コンクリートは、セメントが硬化する時の水和反応により
生成される水酸化カルシウムの強アルカリ性によって
コンクリート内部の鉄筋は腐食しないよう保護されています。
一般的な環境下でのコンクリートは、大気中の炭酸ガスなどと反応することによって
表層部より内部へと中性化が長期にわたって徐々に進行してゆきます。
中性化深さが鉄筋位置に達すると不動態被膜が破壊され鉄筋は腐食し、
腐食生成物の堆積膨張によりコンクリートのひび割れ、剥離を引き起こします。
また、ひび割れが発生したコンクリートはさらに二酸化炭素(CO2)の侵入を促すため
中性化によるコンクリート構造物の劣化、
雨水等の侵入による鉄筋の腐食を加速させてしまいます。
湿潤状態より乾燥状態の方が一般的に中性化の進行は早いです。
このことから、コンクリートの中性化深さは、鉄筋コンクリート構造物の耐久性を
評価する一つの指標として用いられています。

-定期点検-
中性化に対する点検は外観点検(クラック調査)が基本となりますが
中性化がある程度進行し、鉄筋の腐食が顕在化するまでは、
一般に外観上の変状は認められません。
詳細に中性化の進行を測定するには
コア採取ハツリ調査による中性化深さ試験をおススメします。

-劣化対策-
中性化による劣化が進行した場合の補修方法として
以下の手法があります。

○表面被膜工法
中性化の進行を食い止めるためコンクリート表面の被膜を行います。
『炭素繊維巻立工事』など

○断面修復工法
中性化したコンクリートを除去・修復する方法。
腐食した鉄筋の防錆処理も合わせて行います。
『無収縮グラウト工事』