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耐震補強の種類
耐震補強の種類
1.コンクリート増設壁
壁を増やして補強する方法は、最も簡単で効果の大きい方法です。
耐震性に優れたコンクリートの壁をバランスよく配置することで
建物の耐震性能は大きく向上します。
しかしながら、壁を増やすことにより建物の使い勝手が悪くなることがあるため、
他の工法と併用して使われます。
例えば、アラミド繊維や炭素繊維を用いる炭素繊維巻立工事など
2.炭素繊維巻立工事
柱や梁などの構造物の表面に接着して建物のねばりを増す補強工法です。
3.スリットを設ける
スリットとは『すきま』のことです。
『すきま』を設けてねばり強さを増す方法もあります。
柱に壁がついているため、横方向の力が壁の無い部分に集中してしまい
柱が破壊されてしまいます。
このような壊れ方を防ぐため、柱と壁の間にスリットを設け
柱から切り離すことがあります。
スリットは、 2~3㎝ほどの隙間で防水を考慮した目隠しが施されます。
スリットを設けるのにウォールソーイング工法が最適です。
【耐震補強工事】までの流れ
耐震補強工事を行うためには
まず耐震診断を行って、構造物の補強しなければならない弱点を把握する必要があります。
耐震診断とは
既存建物を調査して安全性を診断することを耐力診断といい、
地震などの揺れによって既存建物が受ける被害がどのくらい大きいか
安全かどうかを調べて判断することを耐震診断といいます。
建物の形状、骨組(構造躯体)の粘り強さ、老朽化の程度、
ひび割れや変形などによる損傷の影響などを総合的に考慮します。
耐震補強とは
既存建物で耐震性能を向上させるために行う工事のことです
耐震補強の方法は、RC造では3タイプあります。
その1:柱や梁に炭素繊維やアラミド繊維などのシートを巻きつける
その2:開口部に鉄骨ブレースを入れる
その3:壁を増設する
木造一戸建ての場合は
建物自体の軽量化、耐力壁の追加や既存壁の補強、
柱や梁の接合を強化する金物の設置などの対策があります。
耐震性能とは
建物が地震エネルギーをどれだけ吸収できるか、
揺れにどれだけ耐えられるかを表す能力のことで
骨組(構造躯体)の強度を表す指標のひとつです。
柱や梁の強さや粘り、耐力壁の量などが関係します。
品確法に基づく住宅性能表示制度では『構造の安定に関すること』の項目の中で、
数十年に一度の中規模地震に対する損傷のしにくさと
数百年に一度の大地震に対する倒壊のしにくさの2点について
『耐震等級』で定められています。
鉄筋採取引張試験【構造物の調査・診断】
鉄筋採取引張試験とは
鉄筋を引っ張って塑性変形が進行すると
表面の塗装に細かいひび割れが入り、剥げ落ちてきます。
これは塗装が大きなひずみに耐えられなくなるためです。
剥落はすべての場所で一様に生じており、
原子間の滑りが鉄筋全体で生じていることを物語っています。
なお、この状態で鉄筋は最初の長さの1.1倍近くに達しています。
つまり、長さ方向のひずみ度は10%です。
直径方向には、体積一定のため約5%の圧縮ひずみ度になっています。
採取鉄筋による引張試験は
JIS Z 2241『金属材料引張試験方法』に準拠
作業手順
1.サンダー等を用いて、露出した鉄筋を切断し採取
2.鉄筋を切断採取した箇所に補強筋を結束
3.切断採取した鉄筋の質量を計測し、引張試験機で鉄筋引張強度を測定
※鉄筋が露出し、腐食した箇所を採取して引張強度試験を行うこともできます。
フェロスキャンとハンディサーチ【構造物の調査・診断】
当社では<フェロスキャン/電磁誘導法>と<ハンディサーチ/電磁波レーダー法>の
2種類を取り扱っております。
構造物を破壊することなく内部を調べることができますので、
図面の復元、耐震補強工事、改修工事、設備工事、コンクリートアンカー工事、
かぶり厚さの確認など他にも様々な用途でご利用頂いています。
フェロスキャン・ハンディサーチとは・・・・・
<フェロスキャン/電磁誘導法>
コイルに交流電流を流すと磁束が発生します。
かぶりが変化するとコイルを貫いている磁束が変化、これがインビーダンスの変化として
検出されることを利用してかぶりを測定します。
また起電力の強弱を感知し、鉄筋位置を測定、
さらに磁束の振幅の変化を読み取り鉄筋径を推測することができます。
電磁波をコンクリートの表面から内部に向けて放射し、対象物からの反射信号を
受信することにより鉄筋や空洞などの位置や深さを画像表示・記録します。
レーダー方式により鉄筋などの金属物のほかに塩ビ管・空洞などの非金属物も探査できます。
鉄筋腐食度 コンクリート中性化試験【構造物の調査・診断】
コンクリートの中性化とは
鉄筋コンクリート構造物は、セメントが硬化する時の水和反応で
生成される水酸化カルシウムの強アルカリ性(pH13強)によって
コンクリート内部の鉄筋は腐食しないよう保護されています。
一般的な環境下でのコンクリートは、大気中の炭酸ガスなどと反応することによって
表層部より内部へと中性化が長期にわたって徐々に進行してゆきます。
中性化深さが鉄筋位置に達すると不動体被膜が破壊され防錆機能は失われ、
鉄筋は腐食し構造物の劣化につながります。
このことから、コンクリートの中性化深さは鉄筋コンクリート構造物の耐久性を評価する
一つの指標として用いられます。
中性化深さ測定試験方法
pH8~10の変色域をもち、pH13強までのアルカリ性で赤紫色を呈する
フェノールフタレイン試薬を用いてコンクリートの中性化領域を判断し
表面からの中性化深さを測定します。
1)測定面の準備
コア供試体を圧縮試験機などを用いて割裂した後、
割裂面に付着したコンクリートの小片や粉を、ハケや電気掃除機などで
あらかじめ除去します。
2)中性化深さの測定
測定面の準備終了後、直ちにフェノールフタレイン試薬を噴霧器で
液が滴らない程度に噴霧します。
定期点検・詳細調査
中性化に対する点検は外観検査が基本となるが
中性化がある程度、進行し鋼材の腐食が顕在化するまでは
一般に外観上の変状は認められない。
詳細に中性化の進行を測定するには、コア採取・ハツリ試験による
中性化深さ試験
劣化対策
中性化による劣化が進行した場合の補修方法として以下の手法があります。
・表面被膜工法・・・・・炭素繊維巻立工事
中性化の進行を食い止めるためコンクリート表面の被膜を行う
・断面修復工法
中性化したコンクリートを除去・修復する方法
腐食した鉄筋の防錆処理も合わせて行う
無収縮グラウト工事
耐震診断【構造物の調査・診断】
耐震診断の目的
耐震診断とは、既存建物(1981年以前に設計され竣工した建物)が
地震に対して安全かどうかを見極めるための行為です。
構造的強度を調べ、想定される地震に対する安全性(耐震性)や受ける被害の程度を判断し、
地震による破砕・倒壊を未然に防ぐため、その恐れの有無を把握する目的で行われます。
耐震診断の方法には、以下の3種類があります。
1.一次診断・・・・・既存図面により建物の強度を検討
各階の柱と壁の断面積とその階が支えている建物重量から計算する
最も簡便な方法です。
比較的壁の多い建物には適していますが、壁の少ない建物では
耐力が過小評価されてしまいます。
2.二次診断・・・・・コンクリートの強度検査、鉄筋の検査
各階の柱と壁のコンクリートと鉄筋の寸法から終局耐力を計算して
その階が支えている建物重量と比較する計算方法です。
コンクリートの圧縮強度・中性化等の試験、
建物の劣化状態(ひび割れ・漏水・鉄筋錆・コンクリート爆裂)
などの調査が必要ですが、一次診断より結果の信頼性が高く
公共建築物(学校・庁舎等)で最も多用されている方法です。
3.三次診断・・・・・二次診断+α
二次診断の柱と壁に加えて梁も考慮して計算する。
現行建築基準法の保有水平耐力計算とほぼ同レベルで
建物の終局耐力を計算する方法ですが、
保有水平耐力計算という計算方法の計算上の仮定に
最も左右されやすい方法です。
計算結果通りに建物が終局耐力に達するか否かについて
十分に注意して判断する必要があります。
レントゲン探査【構造物の調査・診断】
レントゲン(X線)探査とは・・・・・
レントゲン探査(X線)は医療用レントゲン撮影と同じ原理を利用していますので
短時間で埋設物の位置を正確にフィルムに写し出すことができます。
コンクリート内部探査の中でレントゲン探査(X線)は最も信頼性が高い探査方法です。
フィルムの画像を基にコア削孔や改修工事箇所の安全を確認できます。
当社では、探査場所・目的に応じてレントゲン探査(X線)と鉄筋探査を使い分けており、
ご依頼頂きましたらコア採取・貫通まで一貫して作業させていただきます。
メリット
・ 躯体を破壊することなく、短時間で鉄筋・埋設配管の位置を正確に把握できます。
・ 埋設物を切断、損傷することはありません。
・ 鉄筋、電線管を識別することができます。
・ 埋設物の種類が容易に判断できます。
・ 技術レベルと安全面が確保されています。
コンクリート強度推定試験(シュミットハンマー法)【構造物の調査・診断】
コンクリート強度推定試験(シュミットハンマー法)
シュミットハンマーとは、コンクリートの圧縮強度を測定するための機器であり
これを用いた強度測定をシュミットハンマー法といいます。
測定方法は、コンクリートに打撃を与え
返ってきた衝撃により強度を推定する反発硬度法※1の一つで
構造物に損傷を与えずに検査が可能な非破壊検査手法です。
シュミットハンマーにはN型(一般用)、P型(床版壁用)、M型(マスコンクリート用)、
L型(軽量コンクリート用)の4種類あります。
※1
強度の高いコンクリートはその内部が密実であり、
コンクリートの強度と硬度には相関性が見られます。
この相関性からコンクリートの硬度を測定することにより
その強度を推定する手法が反発硬度法です。
強度推定試験のポイント
○点検された測定装置を用いる
多数回打撃した後や長期間使用しなかった場合にバネの硬さや内部の摩擦等が変化し
正しい試験結果が得られなくなります。
○乾燥した状態で測定する
コンクリート表面が濡れていたり湿っている状態で測定した場合と、
気乾状態で測定した場合とで比較すると反発度が小さくなってしまいます。
○測定は垂直にゆっくりと
勢いをつけて操作すると、反発度が実際よりも高く測定されることがありますので、
測定の際は、一定の衝撃が加わるようにゆっくりと操作する必要があります。
○材齢28日から91日の間に測定
シュミットハンマーを用いた反発度の測定結果とコンクリート圧縮強度の関係は
コンクリートの材齢により変化すると考えられています。
しかし、必ずしも強度推定の精度が向上するとは言えないため、
材齢28日から91日の間で測定し補正係数を用いないようにします。
材齢28日から91日の範囲外での測定になった場合は、
材齢補正係数表を用いた補正を行います。
-特徴-
長所
・非破壊検査手法であり、構造物に損傷を与えることなく測定ができます。
・機器が軽量で、測定も簡便で容易に行えます。
・容易に多数の測定が行えることから、強度分布の測定が可能です。
短所
・硬度から強度を推定する方法であり、他の測定方法に比べ精度はやや低いです。
・コンクリートの湿度や表面の粗さにより、測定結果が影響をうけます。
・厚さの薄いコンクリートでは正確な測定ができないことがあります。
長所と短所をまとめますと
構造物を破壊せず簡便に行えることが利点ですが、精度の面ではやや劣る手法です
簡易的に強度を確かめる場合は、シュミットハンマー試験
厳密な強度を確かめる場合ならコアを採取した圧縮強度試験が効果的です。
コンクリートコア圧縮強度試験【構造物の調査・診断】
―コンクリートコア圧縮強度試験-
コンクリートは圧縮方向の力に強い反面、引張方向の力には弱いので
鉄筋コンクリート構造では、圧縮力に主として抵抗するよう設計されます。
圧縮強度は、コンクリートにとって最も基本的かつ重要な力学的特性値で
コンクリートの強度といえば通常、圧縮強度を意味します。
コンクリートコアによる圧縮強度試験では、既存構造体中の各部分からコアドリルを用いて
円柱形のコア(テストピース)を採取し、試験することにより
構造物の強度・耐久性を確認することができます。
<テストピースの寸法>
テストピースは使用されたコンクリートの粗骨材(砂利・砕石)の
最大寸法の3倍以上の直径で抜き取り
高さは直径の1~2倍が必要になります。
1倍(直径と同じ高さ)以下の試料は使用できません。
<圧縮強度>
テストピースに圧縮力を載荷した際の最大荷重を求め、
その供試体の断面積で除して圧縮強度を算出します。
<その他の試験項目の実施>
静弾性係数や中性化深さ、コンクリート中に含まれる塩化物量などを
圧縮強度に用いるコアと同一の供試体を用いて測定することができます。
クラック調査【構造物の調査・診断】
クラック調査
クラック(ひび割れ)は、様々な劣化要因によって発生します。
コンクリート表面のクラック(ひび割れ)は、コンクリート構造物の
耐久性や耐荷性を評価する指標です。
クラック(ひび割れ)の発生により、構造物の劣化の進行速度が
著しく加速する場合がありますので、注意が必要です
クラック(ひび割れ)に関する調査には
パターン・クラック幅・クラック長・漏水・エフロレッセンス・鉄筋の錆・たわみなどを
調べる現状調査があります。
クラック(ひび割れ)の発生原因が推定できることもありますが、
特定された原因の確認をする必要がある場合や、
全く原因が把握できない場合には
さらに詳しい調査
・コンクリートコアによる圧縮強度試験
・不同沈下量測定
・高精度鉄筋探査(電磁誘導システム)
・ハンディサーチ(電磁波レーダー法)
・鉄筋腐食度・コンクリート中性化試験 などを実施します。